「ご無沙汰。近々、仙台にお邪魔します」。3月に入り、旧知の写真記者から次々とメールが届いた。東日本大震災の日に合わせた、年に1度の被災地訪問。ちょっと皮肉交じりに「お客さん」と呼んでいる。
 仙台で仕事していた記者もいれば、日常的に協力し合っている他社から出張してくる記者もいて、つい一献となる。
 名古屋から来た東京紙のTさんとは10年ぶりの再会だった。国分町の小さな居酒屋に行き、生ビールで乾杯。炭火の上では、店自慢の自家製笹かまぼこがぷっくりと膨れている。
 お互いの近況を話し合ってから、7年前へタイムスリップ。Tさんは3月11日夜、炎に包まれた気仙沼を必死の思いで空撮し、翌12日には仙台空港の近くに向かったという。彼が空港周辺で活躍していた頃、こちらはあの辺りのビルに避難中だったことも今回判明した。恐れ入った。
 記者にもそれぞれの震災がある。たとえ年に一度であっても語り合いたいもの。話の種はいくらでもあるから、10年と言わず、20年でも30年でも。熱々の笹かまぼこを頬張りながら、つくづく思った。
(写真部次長 佐々木浩明)