「来た来たっ」「でっけぇな」
 「気仙沼つばきマラソン」が開催された15日。気仙沼市の離島・大島へ向かうフェリー発着場に、子どもたちの声が響いた。
 幼い頃、南町の実家からフェリー発着場まで歩いて5分ほど。海水浴のため大島行きのフェリーに乗船するのは、いつだって「非日常」だった。浮き立つ気持ちを、今も覚えている。
 その大島に、橋が架かったんだと。いまだに信じられない。でも、15日に船から見た橋は、雨上がりの空から差す光に白くきらきら輝いていた。「夢の懸け橋」とはよく言ったもの。道路や建物の完成とはまた違う未来が、そこにはある。
 翻って南町を含む内湾地区は、すっかり姿を変えてしまった。震災の被害と街の衰退と、両方あろう。
 交番、銭湯、大きなバスターミナル、駄菓子屋、銀行、高校の頃にアルバイトをした書店「文信堂」。全部ない。防潮堤の内側で、街の再生はそれほど進んでいないように見える。
 個人的な話だが、市長選投開票日の22日は、誕生日だった。縁でしょう。古里がどう生まれ変わるのか。少しの間、見守りたい。
(気仙沼総局長 村上朋弘)