年金暮らしの知人が「東日本大震災の被災者へ」と、義援金を河北新報社に寄託してくれた。その額、実に6万数千円。思わず絶句してしまった。
 聞けばフルムーン旅行の足しにしよう続けてきた小銭貯金だとか。体力的に遠出が難しく「それなら」となった。「最寄りの銀行から振り込むだけ。簡単だった」と快活に言うが、腰痛を押して雪道を、大量の小銭を抱え、てくてくと…。
 寄付なら人気の「ふるさと納税」もあったろうに。本年度の寄付総額は2000億円を超えそうな勢いだ。何しろ寄付した町や村から返礼品が届くし、確定申告で住民税や所得税が減免される。
 いいことずくめのようだが、減免分は寄付した人が住んでいる自治体が工面する仕組みだ。つまりは「生まれ故郷に恩返し」(総務省)ならぬ、「他人のふんどしで恩返し」。
 義援金だって寄託先に連絡すれば、寄付控除を受けるのに必要な書類を発行してくれる。確定申告はきょう16日から始まった。愚直な知人にこそ、ささやかな還付とささやかな幸のあらんことを。(2017・2・16)