太平洋のど真ん中、サンゴの島は近年、埋め立て道路がよく波をかぶる。70年に1回だった高潮被害は年数回に増えた。海抜平均約2メートル。海面上昇で海岸浸食が進み、移転を迫られた村もある。
 人口11万の島しょ国キリバスで地球温暖化の影響が深刻化している。2050年までに首都の2.5~8割が浸水するとの予測も。仙台市宮城野区、駐仙台名誉領事ケンタロ・オノさん(39)は、宮城県の小中学校などでの出前授業で「水没危機」を紹介、環境教育に一役買う。
 キリバスの美しい風景に魅せられ、15歳で仙台から単身留学。その後国籍を取得した。東日本大震災をきっかけに仙台に戻り、開発コンサルタントとして両国を行き来する。日本で温暖化の被害はまだ遠い話だが、最前線国の体験談は「わがこと」と考える契機になる。
 気になるのは温暖化対策に消極的な米トランプ政権の発足だ。途上国支援も課題に挙がる新枠組み「パリ協定」の行方を世界が懸念する。「気候変動は政治の問題でない。現実であり人間の問題だ」とオノさん。あの人にも声が届くか。(2017・2・17)