街に「ピー」と笛の音が響く。冬の風物詩、石焼き芋の移動販売。軽トラックなどの荷台に特製の窯を積んだ業者が、焼きたて熱々を売り歩く。全国的には拡声器で「石焼~き芋」と流すのが主流でも、宮城は昔から「ピー」。定かではないが仙台発祥との説もある。
 地元ではなじみ深い笛の音も、音が出る仕組みまで知っている人は少ないだろう。窯には「焼き」と「保温」の二つがある。ガスで熱した石の上に芋を並べ、芯まで火を通すのが焼き窯の役目。約1時間で焼き上げたら、今度は隣の保温窯へ。熱湯で間接的に温める構造で、蒸気が噴き出す管の先に笛を取り付け、あの食欲をそそる音を響かせている。
 焼き過ぎを避けながら熱さを保ち、蒸気は芋に直接触れないから、皮の食感はそのまま。家庭では難しいプロの技だ。
 往時50人いたという仙台圏の業者は近年は15人ほど。うち8人が加盟する宮城中央露天商協同組合は、100グラム100円の統一価格を30年以上守る。「ピー」はその構造上、焼き上がりの合図でもある。耳を澄ませばほら、あなたの街にも。(2017・3・4)