「本が届いたよ。ワカメを食べてくれる人が増えてくれるとうれしいな」。電話の向こうで、石巻市北上町十三浜の漁業佐藤清吾さん(75)の声が弾んだ。
 6年前の3月11日、十三浜は高さ13メートルの津波で296人が犠牲になり、佐藤さんも妻と小学1年の孫、15人の身内を亡くした。漁協支所のリーダーだった自身は悲嘆をこらえ、全滅した名産・十三浜ワカメの養殖復活へ仲間と奮闘した。
 仮設住宅に届いた本は『三陸わかめと昆布 浜とまちのレシピ80』(婦人之友社)。十三浜ワカメのおいしい食べ方が満載だ。刊行は、雑誌『婦人之友』愛読者の仙台友の会が佐藤さんら住民と協働し、ワカメを食べて支援しようと仲間に広めてきた活動がきっかけだ。その料理レシピを浜のお母さん、全国の読者、プロの料理人、石巻北高生らが寄せた。
 「ワカメとウニとアワビのさっと煮」「きざみ(塩蔵)ワカメのおにぎり」などは、佐藤さんも好きな地元料理。「先日やっと、高台移転地で新居の地鎮祭をした。浜の復興はこれからだ。応援は何よりの励み」と本の反響に期待する。(2017・3・11)