6年前に歩いた東日本大震災の現場、惨状が目に焼き付く場所の一つが相馬市磯部。漁港の集落は跡形もなく流され、周辺の陸深くまで海のようになった。
 「その海がすぐ下に広がっていた」と、磯部から近い柏崎地区の高台で河合昇さん(60)は振り返る。妻美津子さん(59)と2人で震災の翌年秋、見渡す限り土色の風景に1軒のカフェを建てた。
 名前は「DOMANI」、イタリア語で明日のこと。「被災地だからこそ人が集い、ゆっくりと語り合い癒やされ、明日へと立ち上がれる場所を開きたかった」と美津子さん。南相馬市の鹿島出身で、津波で同級生やその家族を亡くした。
 洋館風のカフェは、夫婦が育てるバラで飾られ、店内はメルヘンの世界だ。美津子さんが大好きな「ムーミン」と仲間たちの人形や絵があふれ、手作りパンやピザ、パンケーキの食器にもムーミン。
 交流サイト(SNS)を通じて仙台など遠来の客が増え、「震災で古里を離れた人同士の再会もある」と美津子さん。バラが見頃の6月には「手作り市」を企画し、相馬の復興に役立てたらと願う。(2017・3・13)