長いこと、生活水準を表す指標とされてきた。消費支出に占める食費の割合を示し、所得の低い世帯ほど食費以外を切り詰めることから数値が大きくなる。そのエンゲル係数に「異変」があった。
 20%台前半で推移していたのが、総務省の2016年家計調査で25.8%に上昇し、29年ぶりの高さになったという。「やはり生活は苦しくなった?」
 そうとばかりも言い切れない。昨年は台風の影響から野菜が不作で高騰。確かに食品全般が値上がりした。一方で、家で調理せず、高い総菜や弁当を求める「中食」が増えている。背景には共働き世帯の増加などがある。さらには、ささやかな幸せを外食で味わうプチぜいたく派も。そんな生活スタイルの多様化も、食費を押し上げた要因の一つだ。
 ただ、数値がアップしたのは、食費が増えたのに、支出に回せる所得がそう増えてはいない証しといえる。
 中でも高齢者は本年度、年金を0.1%減額される。過日の河北川柳から。<これ年金たまには忖度(そんたく)してくれろ>。政治の貧しさを測る物差しはないか。