「理想の投球とは?」。元プロ野球巨人の投手で「怪物」と呼ばれた江川卓さん(62)は現役時代、周囲から聞かれるたび、いつも判で押したようにこう答えた。「27球で完投し勝つ」。剛球右腕のイメージが強い一方で、いつも肩の消耗を気にしながら投げていた。
 この投球スタイルの対極にあるのが東北楽天の則本昂大(たかひろ)投手(26)であろう。一球一球とにかく腕を振る。先発、中継ぎ、抑えといった「完全分業制」の下、しかも投球数100を目安とする中で初回からガンガン飛ばす。2桁奪三振の連続試合記録はついに「8」まで伸びた。
 プロ野球はかつて先発完投が基本で、投手は9回を前提に投球を組み立てた。だからシーズン401奪三振を記録した江夏豊さん(69)=当時阪神=でさえ、10個以上の三振を奪った連続試合の自己ベストは「4」にとどまる。
 平成の奪三振王が躍動する姿は現代野球だからこそ目撃できる醍醐味(だいごみ)である。何という幸せ。次回登板は15日のヤクルト戦(東京・神宮)か。メジャー記録の更新も懸かるというから、見逃せない。