一部の加害者が犯行を繰り返すのだろうか。痴漢に遭ったことのある人がネット上のアンケートでは半数に上るという。未成年も多い。言うまでもなく、意思に反する性的行為は尊厳を踏みにじる卑劣な犯罪だ。逃げ得は許されない。
 痴漢を訴えられた乗客が線路内に立ち入る事件が都心で相次いだ。列車にはねられるなどして命を落とした例もある。真相は分からないが、潔白を主張しつつ逃げるのは、容疑を晴らす難しさや社会的制裁の恐怖が浸透しているからか。
 拘束され、職や人間関係を失う。裁判で真実が明らかにされるとは限らない。人生を棒に振る。ぬれぎぬならば理不尽極まりない話だ。不安は膨らむ。
 世情を反映し、痴漢に間違われたときに弁護士と連絡の取れる保険サービスが人気を呼んでいる。満員電車に揺られる息子や夫の冤罪(えんざい)被害を案じる女性からの問い合わせが増えているそうだ。
 痴漢事件の被害者は男女を問わない。犯行は未然に封じ込めたい。ポスターや車内アナウンスでの警告など、事業者側にできる対策はもっとある。(2017・6・20)