刃物を振り回していた男が逮捕されたとの一報を聞き、胸をなで下ろした。現場となったのは、公開されていた法廷。誰もが耳を疑ったに違いない。「法廷に凶器を持ち込めるのか」と。
 仙台地裁で16日の判決宣告中、保釈中の被告(30)が突然刃物を振り回し、取り押さえようとした警察官2人が切り付けられる事件が起きた。
 2人は顔や背中を刺されたものの、命に別条はなかった。当時、20人近い小学生が別の階で法廷を見学していたという。「命を賭してよくぞ押さえてくれた」。保護者ならずとも同じ気持ちだろう。
 事件を受け、最高裁は全国の裁判所に所持品検査を積極的に行うよう検討を求め、警備強化の流れが強まっている。一方、それによって憲法で保障された「傍聴の自由」が制限されかねないとの懸念も弁護士サイドから上がる。
 現行犯逮捕できたのは、たまたま警察官が傍聴していた偶然の産物だ。もし市民が犠牲になっていたら…。もはや杞憂(きゆう)などと侮れない現実を、鋭利なやいばが突き付けている。