「この城で討ち死にした侍たちの鎮魂に」。松本忠雄さん(75)は講演を終えるとフルートを取り出し、本丸跡でよく奏でるという寂しげな曲を響かせた。
 城とは、仙台市宮城野区と宮城県利府町にまたがる国史跡・岩切城跡。松本さんは宮城野区の「岩切歴史探訪の会」のメンバーだ。同市内の異業種交流会が催した講演会で、南北朝時代の1351年に起きた「岩切城合戦」を紹介した。
 畠山国氏という武将ら100余人が討ち死にしたという。松本さんは国土地理院などの地図から幅3メートル近い城跡の立体図を手作りし、文献を基に現地を歩き、合戦があった場所やルートを調べた。
 「歩くうち、尾根道の1本が人工的に掘られ、両側に土塁が盛られたように思われた。合戦後、守りを固めるために造られた大手道(登城路)と推定した」。4月3日の本紙県内版でも紹介された説は歴史研究者からも評価されている。
 「銀行を定年後、9年前から城に興味を持った」と松本さん。「東北最大級の山城。もっと市民に親しんでほしい」。フルートには歴史への愛がこもった。