仙台御筆(おふで)。仙台特産の毛筆は400年前からこう呼ばれる。伊達政宗が仙台城下を開いた後、京都の筆師を招き、鉄砲足軽に筆作りの技を学ばせた。今の若林区連坊小路に工房が連なったという。
 「御筆の名に武士の誇りを込めたのだろう。筆作りは戦前まで大変盛んで、わが家の工房に60人の職人がいたそうだ」
 仙台御筆を紹介する企画展が開催中の若林区文化センターで、技を伝える最後の職人、大友博興さん(77)は話す。
 腰(弾力)が強く、墨の持ち、線の密度が良く、長持ちする。定評ある筆が出来上がるまでに16もの緻密な工程がある。馬、中国のヤギの毛を吟味して選び、煮て、洗って、切って、芯を整える。
 「私は4代目。父が早世し、中学を出て修業を始めた。一人前になるのに10年かかる。だが、高度経済成長期になり、筆記用具はボールペンの時代になった」
 仙台御筆の需要も工房も激減。書道家から愛されながら、大友さんには後継者がいない。「入門しても収入を期待できない。新しい人を育てる夢よりも、いまはこの文化を伝えたい」。9日まで。