仙台の街角でアサガオの花が咲いていた。何げなく見ていたら、小学生の時に夏休みの宿題で生育観察した日々がよみがえった。発芽、つるの高さ、開花、種取り…。帳面に色鉛筆で下手な絵を描き、あれこれ感想を書き込んだものだった。
 民俗学の柳田国男は『明治大正史 世相篇(へん)』でアサガオが日本人の色彩感覚に大きな影響を与えたと指摘している。「ほとんどあらゆる色を出した。作る人が予想もしなかった花が咲き(中略)空想を極度に自在に実現させてくれた」と。
 遠い日の観察によって色彩への感性が磨かれたかどうかは分からない。ただ、教室で学んだことが一つあった。先生は「アサガオは夜が来たと知って時計のスイッチが入る」と話してくれた。開花まで8~10時間。日の出に反応するのではなく、日が暮れて人知れず指折り数えている。何ともいじらしかった。
 別名牽牛花(けんぎゅうか)。中国で昔、薬効があるアサガオの種子と交換するため牛を引いていったという。七夕の今夜、空を仰げば牽牛が織女の手を引いている。指折り数えて365日。天の川が彩られている。