取材でお世話になった仙台市の職員がこの春、めでたく定年退職を迎えた。感謝の気持ちを示そうと、社内の有志でささやかな宴席を用意した。
 出会った当時、OBは30代の半ばだった。記事を書く話題に困って「何かありませんか」と訪ねると、上司の課長や課長補佐を差し置いて、話し相手になってくれた。ありがたかったが、まだ係長なのに大丈夫かと心配になった-。
 失礼を承知の上で打ち明けると、OBはグラスを片手に「懐かしいねぇ、『係長行政』」と目を細めた。かつて市役所には、若い係長らに大きな仕事を任せるおおらかさがあったという。
 すぐお隣の宮城県庁では、係長クラスから「課長か補佐にお願いします」とかわされることが多かったように記憶している。もっとも、近年は市役所も県庁と同様に若手の自由度が狭まり、OBは「あの頃は良かったよ」と嘆いていた。
 市政のリーダーを選ぶ市長選も間もなく折り返し。23日に決まる新しい市長にはぜひ、意欲のある職員が仕事しやすい職場環境をつくってもらいたい。