仙台弁護士会が、法教育に力を入れ始めたのは2004年のこと。仙台市若林区の私立高で初めて、同会の弁護士が試みた出前授業を取材した経験がある。
 人気アイドルグループが、自宅住所や家族の顔写真を載せられた暴露本の出版差し止めを求め、仮処分を申請したという民事事件が教材。プライバシー保護と表現の自由がぶつかり合う法廷闘争だ。
 グループ討議の結果、「出版差し止め」の判断を下した生徒たちに、弁護士が話した締めのあいさつが今でも印象に残っている。「暴力で紛争を解決するのではなく、意見を戦わせて問題を解決する力を身に付けてほしい」
 13年も前に聞いたこの言葉を想起させたのは、登米市で母子3人が焼死した4日の放火、仙台地裁の法廷で被告がナイフを振り回し、警察官2人にけがをさせた6月16日の殺人未遂の2事件だった。
 もう少し、話し合いや意思の疎通を重ねる時間はなかったのだろうか。冷静さを欠いた行動は、取り返しのつかない結末を残した。間違いなく、問題を解決するすべを見誤ったからに他ならない。(2017・7・15)