J・S・バッハと聞くと、重く難しいと敬遠する人も多かろう。ドイツ・バロック音楽の大作曲家。筆者も苦手だったが、考えを改めるような実演に触れた。
 仙台市内で先日あった「グリーン・ウッド・ハーモニー」の演奏会。「戦災で焼けた杜の都を歌でよみがえらせよう」と、1948年から活動を重ねる合唱団が選んだのが「ロ短調ミサ」だった。
 キリストをたたえるミサ曲の中でも、演奏に2時間の超大作。切々たる哀れみと祈り、深い癒やし、輝く喜びが、万華鏡のような千変万化の響きで歌われる。
 80人ほどの混声合唱団は、アマチュアには過酷な難曲を最後まで緊張感高く歌いきり、日本人には「壁」になりがちな宗教を超えてバッハの美しさを伝えた。
 バッハにはドイツ語で「小川」の意味がある。「彼は小川でなく、大海のような存在」と評したのは後代の巨匠ベートーベン。夏には軽やかなモーツァルトが似合うが、大海に抱かれるのもいい。
 やはり老舗の仙台宗教音楽合唱団も30日に、50周年演奏会でバッハを歌う。仙台の音楽好きには「バッハの夏」だ。