ドジョウやコオイムシ、マルガタゲンゴロウなど多様な生物が水田にすんでいた。「人と自然の共存の証し。稲作が生物の生活を支えていると感じてほしい」
 仙台市太白区の向井康夫さん(40)は小さな命に優しいまなざしを注ぐ。泉区で今月上旬、地元農家と共同で水田の生き物観察会を開いた。大学の研究機関を飛び出し、昨年から個人で観察会や生物調査などの事業を営む。
 子どもの頃水生昆虫に興味を持ち、故郷にある大阪府立大で水田の水生動物の生活様式と多様性を探究、農学博士を取得。京都大勤務を経て東日本大震災後、東北大生命科学研究科助教として被災地の干潟や田んぼの生物調査に携わった。
 愛称は「むかっち」。観察会参加の児童らはそう呼び、採取した生物を向井さん手作りの顕微鏡でじっくり見澄ます。手製の資料で対応する向井さんが心掛けるのは「間違っていると言わないこと」。多様な見方や考え方を助言する。
 「発見する喜びを伝え、個々の違いを認める心を育む機会になれば」。新たに見つけた生きがいに目を輝かす。