朝早く目が覚めるようになって、最近やっと気づいたことがある。「このセミは朝方も鳴くんだ」。ヒグラシである。その名の通り日が暮れる頃に鳴くものとばかり思い込んでいたけど、薄明であれば朝も夕も関係ないらしい。
 かつては、こうも思っていた。鳴くのは晩夏から初秋で、「カナカナカナ…」は夏に終わりを告げる哀愁の響きでもある、と。俳句では秋の季語。その「声」が秋らしい清涼さだからなどと理由付けされる。だが、実際は7月には各地で鳴き始める。俳人はヒグラシに「初」のほか「梅雨」を冠して夏を詠むという。
 その梅雨、東北でもそろそろ明けていい頃合いだ。1年を24等分したのが二十四節気で、それぞれをさらに初候、次候、末候に3分したのが七十二候。きょうからは「大暑」の次候である「土潤溽暑」(土潤うて蒸し暑し)。暦の上で夏の暑さはピークに達する。
 セミにも役回りがあり、涼を呼ぶのがヒグラシなら盛夏をあおるのはミンミンゼミか。だが、その声が嫌なほど暑苦しく聞こえる。これも、加齢のせいかな。