黒の衣装に金色のサックスが似合う。テナーとアルトの音色が溶け合い、「イエスタデイ」や「テネシーワルツ」を甘く奏でた。先日午後、仙台市青葉区東一番丁通のカフェであったコンサート。
 演奏した「サックス・マスターズ」は、メンバー5人が60~70代だ。結成から5年。毎週練習に集い、同市の「とっておきの音楽祭」などで出番を重ねる。
 リーダーの五十嵐嘉也さん(79)=宮城県利府町=は、東日本大震災に石巻市で遭遇し、同じ年に腎臓がんの手術を受け、二つの重い体験から人生を見つめ直した。「自分の好きなことを今、始めなくては」と思い立ったのが、憧れのテナーサックス。大崎市出身の演奏家、佐藤こずえさん(31)の教室に入門した。
 「音を出しやすく、人の声のように柔らかく、気持ちを表現しやすい楽器」と佐藤さん。「五十嵐さんのように、震災をきっかけに始めた人が多い」。マスターズの他のメンバーも同様に、還暦を過ぎてから初めてサックスを手にした。
 「仲間と出会い、合奏する楽しみは格別」と五十嵐さん。人生の喜びも響く。