港町育ちのせいか、活魚料理が大好きだ。ところが、これまで生きたサンマというものにお目にかかったことがない。それだけ鮮度を保つのが難しいらしい。
 サンマの繁殖に世界で最初に成功した「アクアマリンふくしま」(いわき市)では、泳ぐ姿を見ることができる。うろこがはがれやすく、研究当初は網を使っての採集が困難だったため、流れ藻に産み付けられた卵から飼育したという。
 しかも、神経質で臆病ときている。ちょっとした光や音にも驚いて水槽の壁にぶつかって死んでしまう。照明などさまざまな工夫を凝らして、先月からは特殊な網で生け捕りにしたサンマたちの乱舞を、大水槽で見物できるようになった。
 サンマは乱獲がたたり、今や高級魚になりつつある。にもかかわらず、8カ国・地域が参加した先日の国際会議では各国の足並みがそろわず、漁獲枠新設で合意できなかった。このままいくと、庶民の口に入らなくなるのでは、と心配だ。
 <ほろほろとにがき腸まで秋刀魚(さんま)食ふ 石塚友二>。これから旬を迎えるサンマは焼き魚に限る、と思う。