「ギターにわくわくし、自分でも始めた」「聴くより歌う方が楽しいね」。行けば、こんな人に出会う。仙台市の繁華街、稲荷小路のライブハウス。店主の上野清仁さん(65)は初めての客もステージに呼び、自ら伴奏のギターを鳴らす。
 1960年代末の仙台高時代、フォークのバンドを組んだのが始まり。測量設計会社を営んだ30年の空白を挟んで、知人の店から誘われてライブを始めた。
 「仕事に悩む時だった。ギターと歌を思い出し、音楽好きの仲間たちに出会った」。転機は2011年2月。友人から「音酒(ウォンチュー)」という店を譲りたいと話があり、「音楽で人の縁が広がるライブハウスにしよう」と決めた。
 1カ月後に東日本大震災。「人が集う場を絶やすまい」と店のライブを続け、懐かしいフォークやポップスを被災地で歌い、仙台や石巻のバンドに呼び掛けて「震災復興元気コンサート」を催した。
 「震災の影響で閉店を決めた時もあった」と言うが、店のファンたちが支援してくれた。「人が集えば音楽が始まり、また人をつなぐ。その力を信じている」