古代ローマで兵士の給料は塩だったという。塩を意味するラテン語が「サラリウム」。サラリーの語源とされる。
 「米塩(べいえん)の資」。わが国では生活費のことをこう表現した。塩はむろんコメが生きていくために、まず、必要なものだった。江戸時代の武士の給料のことを考えてみてほしい。「百石取り」「三十俵二人扶持(ぶち)」…。石も俵も扶持も、支給されるコメの量を表していた。
 コメは生活の糧であり通貨であった。暮らしと切っても切り離せなかったその食物が、悲しいかな、今は敬遠される。
 2016年度の食料自給率は、前年度より1ポイント低下し38%だった。宮城の稲作が戦後最悪となるなど冷夏でコメが全国的に凶作となって37%に落ち込んだ1993年に次ぐ、過去2番目の低さだ。北海道で台風被害があったにしても、自給率低迷の背景にあるのは、コメ消費の減退。主食の存在はそれほど大きい。
 その証拠に「国民が毎日ご飯をもう一口(17グラム)食べるだけで自給率は1%アップする」と農林水産省。一口といわず二口、三口と食べて、農業を応援したい。