米国の競争社会は歌の世界も同じだった。オペラ劇場のオーディションのライバルは、体も声も大きな現地の女性歌手たち。「そんなに小さくて歌えるの?と露骨に言われ、差別も感じた。でも、どんどん受けて挑戦しろ、と先生から背中を押された」と早坂知子さん(32)。
 仙台市の常盤木学園高、国立音大、2009年から米国カンザス州の大学院で声楽を学び、同年に地元の劇場でオペラに初出演した。メゾソプラノだが、声質が重く太く、そのことが転機を呼ぶ。
 3年前、コロラド州の劇場の指揮者から「君はドラマチック・ソプラノを歌うべきだ」と認められた。女声で最も重厚で豊かな音量を持つ歌い手だ。その声を求められる、ドイツの作曲家ワーグナーのオペラに2作続けて出演。日本人では希少なチャンスと経験を積んできた。
 「成果を古里で披露できたら。歌う場を広げたい」と夢を膨らませ、9月10日に仙台で初の独唱会を開く。在仙のピアニスト渡辺真理さんは「若い個性的な音楽仲間が活動を始めるのは大きな刺激」と期待する。チケットはヤマハ仙台店で。