秋風のことを「金風(きんぷう)」とも言う。古代中国の五行思想が由来らしいけど、黄金色に染まる稲穂の波を吹き渡る風なら、そのネーミングに違和感はない。
 季節ごとの「春一番」「薫風」「木枯らし」に加え「追い風」「逆風」などなど。先人たちが、風に付けた名は2千を超すといわれる。「風土」「風俗」を持ち出すまでもなく、風という自然の息吹がそれほどまでに営みの中に入り込み、暮らしを左右してきた証しであろう。
 秋の風には「野分」もある。野の草を分けて吹きすさぶ暴風。その字面に風情が漂うとはいえ、ご存じのように台風のことである。
 きょうは「二百十日」。立春から数えて210日目、台風がやって来るころとされる。経験則通り、台風15号が小笠原諸島付近にあり今後、北上しそう。影響が最小限にとどまってくれればと思う。
 稲の出来について言えば、8月の低温・日照不足で登熟に不安があるため、台風による追い打ちだけは今後も勘弁願いたい。実りも懐も豊かになる「金風」が吹くというなら、こっちは大歓迎だが。