俳人で老舗料亭「なだ万」のあるじでもあった故楠本憲吉さんは、日本料理に「三味三風」の持論があった。
 「感じがいい店、入ろうか」の前味、「あぁ、うまかった」の中味、「また来よう」の後味。これに「どこでとれたか」の風土、「いつとれたか」の風味、「盛り付け・器」の風景が加わったとき、「生きてて良かった」となるらしい。
 秋味といえばサケ。阿武隈川の河口に位置する宮城県亘理町は郷土料理はらこ飯の旬を迎えた。町観光協会は「仙台でも提供する店が随分増えました。でも、亘理に来て太平洋の潮風を感じながら地元産の新米で食べてもらえば、うまさも2倍、3倍になります」とPRする。
 町内では来月1日、2カ月間の日程で「元祖はらこめし満喫スタンプラリー」が始まる。参加は昨年同様23店舗。店ならではの味付けと作り方、もてなし方があるので、三味三風を堪能したい。
 <秋味の一片にある旅愁かな>。楠本さんの句である。ふ化から川に戻ってくるまでおよそ4年の旅路。食すれば、被災地で流れた歳月も隠し味となろう。