軍の階級の呼称、大元帥や元帥は、仏教の大元帥明王に由来するともいう。明王の総帥ともされ、敵や悪霊の降伏(ごうぶく)に力を発揮する。一面六臂(ぴ)、六面八臂などの異形に憤怒相。闘争的な仏様である。
 「戦争が一番怖い」と、徴兵を逃れるために放浪を始めた画家山下清(1922~71年)。なぜか物事を軍の階級で表現する癖があった。「元帥級の○○」「少将級の△△」といったふうに。
 疑問はJR仙台駅東口で開かれている山下清展で氷解した。普通の表現では「偉いか偉くないか分からない」。山下の言い回しは流行語にもなったという。
 56年に仙台を訪れた山下が元帥級と評した物が二つある。一つは七夕。描いた作品は意外にあっさりしていた。もう一つが「とんかつ大町」の特大トンカツ。特大はその後「元帥かつ」と呼ばれた。
 当時の店は閉店したが、次女がオーナーの「とんかつ大町南光台店」は、元帥かつが、40年来の看板メニュー。作品を堪能し、ゆかりの料理を味わう。芸術、食欲の秋にふさわしい。ちなみに同店は工事中で、12日に新装開店する。