「この選挙戦中、2回も殺されたよ」。20年以上前の青森県知事選。5選を目指した現職、故北村正〓さんが県内一巡の遊説を終え、支持者らを笑わせた。
 当時78歳。国策の核燃、新幹線延伸問題を抱えて国と対峙(たいじ)していたが、県政の対立軸は少なく高齢・多選が焦点。体調を崩すと、とんでもないデマが流れた。
 多選の知事は多い。現職がいったん地歩を固めると、代わり映えしない県政になりがちの時期もあった。地方分権時代の今、存在感や注目度は高まるばかり。
 衆院選に向けた激流の中、東京、大阪、愛知の3都府県知事が連携を表明した。分権改革推進を掲げる姿勢は心強いが、国政政党を率いる2氏には「選挙互助会」に終わらせないようお願いしたい。
 宮城県知事選が告示された。4選を狙う村井嘉浩氏(57)に新人の元団体役員多々良哲氏(59)が挑む構図になりそう。周りの騒ぎに惑わされず、腰を落ち着けて地域課題の論戦を交わしてほしい。
 「この県をよくすることだけを考えていたなあ」。知事とはそういう存在。退任後の北村さんの言葉を思い出す。

[注]〓は、「哉」から「ノ」を抜く