途方もない借金を抱えるこの国の財政を、どう再建するか。衆院選の各党公約はいつも通り、「痛み」が伴うその道筋を語らず「甘言」ばかりが目立つ。
 行財政改革に成功した歴史上の人物はといえば、米沢藩中興の祖、上杉鷹山か。倹約に努め荒れ地を開き、新手の殖産も手がけて瀕死(ひんし)の藩財政を立て直した。
 「この人物が、この国にいたというだけで、どこか心がすくわれる」。歴史学者の磯田道史さんは著書『江戸の備忘録』で、鷹山のことをそう敬愛する。
 「なせばなる なさねばならぬ何事も ならぬは人のなさぬなりけり」との鷹山の言葉で、よく説かれるのは努力の大切さだが、磯田さんが感ずるのは為政者としての強い「当事者意識」。農民が飢えるのも罪人が出るのも、自分のせいだと思い「なんとかせねば。なんとかするのが自分のつとめ」と考える。治者にとり、とても大切な心持ちだと指摘する。
 鷹山のように、とは言わない。財政が悪くなったのは自分たち政治家のせいだと、せめて反省だけでも口にできないものか。週末も論戦に耳を傾けてみたい。