深まりゆく秋を実感させられるのは、イチョウの黄葉と落葉である。仕事場がある仙台市中心部でも、住んでいる郊外の住宅団地でも、通りが彩られていく。
 恐竜がいた時代からの生き残り、「生きた化石」だそうな。タフで病虫害が少なく、強い剪定(せんてい)にも耐える。街路樹向きといえる。ある事典には「耐火力に優れ、古くから防火樹として知られる」とあった。寺や神社に名木・古木が残るのは、そのためなのだろうか。
 中国原産で、国内で栽培が広がったのは、当初、薬とされたギンナンの実が目的だったよう。今は専ら食用。独特の風味とともに、緑や黄の色は目にも楽しく、茶わん蒸しを彩り、殻ごと焼けば、香ばしく酒のつまみにもなる。
 ただ、落ちたギンナンは肉質の外皮のせいで、ちょっと厄介。歩道が汚れるし、何よりあの臭さには閉口させられる。でも、だから小動物もカラスも好んで食べはしない。わが身を守るすべか。
 並木の下でのギンナン拾いも一つの風物詩。冬へ、また一歩近づく。<銀杏(ギンナン)が落ちたる後の風の音 中村汀女>