松島湾に面した小さな集落が毎週末、カキの愛好家でにぎわっている。宮城県利府町の浜田漁港で9月末、殻付きカキを蒸し焼きにして振る舞う「焼き処(どころ)」と生食用直売所の営業が始まった。
 JR仙石線の駅前で三陸道のインターにも近く、仙台から約30分で新鮮なカキが味わえる。人気観光地の混雑ぶりとは無縁の穴場的存在だ。
 東日本大震災で約2メートルの津波に襲われた焼き処は、かさ上げして建て替えられた。内湾で育った濃厚なカキとともに、島々の眺めもごちそうの一つ。
 「今年のは身が大きいよ」。浜田カキ生産組合代表の桜井博之さん(54)が声を弾ませる。漁業者が減り、昨季は2軒でやっていた地区のカキ養殖を1人で背負う。生産量は限られるが、近隣の人々がカキむきや焼き処を手伝い支える。
 昨年末、県内10海域でノロウイルスが検出され、書き入れ時に大きな打撃を受けた。影響はシーズン終盤まで尾を引いたという。今季に懸ける桜井さんの思いは強い。生産組合は水曜定休。連絡先は022(365)3515。