愛媛県伊方町に「名取」という地区がある。伊達政宗の長男で、愛媛宇和島藩初代藩主秀宗に同行した仙台藩名取郡出身の軍夫が定住したことに由来するという。約400年後、東日本大震災で被災した「本家」の一大事に、愛媛の名取の人々は義援金を寄せ、交流が続く。4日の本紙朝刊に、その縁が紹介された。
 横浜市で建築事務所を営む1級建築士坪谷和彦さん(44)は先月で、岩手県大槌町に来て丸6年になった。仮設の住宅、店舗の入居期限が迫る中、新居の設計依頼がピークを迎え、焦りだした。
 「建築士が足りない。このままでは期限に間に合わない」。協力してくれる仲間を募集しているが、条件は一つ。「大槌かその近辺で暮らせること」
 建物は一生もの。被災者個々の思いを形にしたい。時に杯を交わし、じっくり話を聞く。「新幹線の時間なので帰ります」では務まらない。これが坪谷流だ。
 市井の建築家こそ地域に根ざし、復興の礎を築く。大半を大槌で過ごし、街も人も好きになった坪谷さん。仕事が一段落しても、横浜と行き来するつもりだ。