四方八方を見守る大きな両目と、鮮やかな群青の色使いが特徴だ。伊達家ゆかりの「松川だるま」を受け継ぐ「本郷だるま屋」が、新天地の仙台市青葉区川平で2年目の年越しを迎える。
 「来年のどんと祭まで休みはありません」と張子職人の本郷久孝さん(69)。年間製作する約6千体のうち8割をこの時期に仕上げる。創始者の仙台藩士松川豊之進に弟子入りした久三郎から数えて10代目。妻の尚子さん(66)と技を守る。
 昨年6月、青葉区柏木の北七番丁から北環状線沿いに移転した。きっかけは東日本大震災。震災後に土地の有効活用を考えた家主の意向を受け入れ、明治から100年以上続いた柏木を去った。
 一時は廃業も考えたという。折しも昨年4月、松川だるまを含む「政宗が育んだ“伊達”な文化」が日本遺産として認定を受け、背中を強く押された。
 震災では「2階が浸水せずに済んだのは神棚のだるまさんが踏ん張ってくれたおかげ」と感謝されたこともあった。尚子さんは「柏木で100年。川平でも100年続けたい」と決意を語る。