太平洋沿いの海岸線を976人が駆け抜けた。10日、仙台市若林区藤塚地区を発着点に行われた「復興祈願第2回心をつなぐ若林シーサイドマラソン」(実行委員会主催)。参加者は昨年の第1回大会から558人も増えた。
 およそ100世帯、330人が暮らしていた藤塚地区の集落は東日本大震災の津波で失われ、人が住めない災害危険区域に。マラソンは年に一度のにぎわいだ。<マラソンの最後の一人うつしたるあとの玻璃戸に冬田しずまる>。ちょうど82年前の10日、弘前市に生まれた歌人・劇作家寺山修司の作品が思い浮かぶ。
 ただ、コース沿いには玻璃(はり)(ガラス)戸も田んぼもない。各部の上位ランナーに贈られた若林区特産の「仙台井土ねぎ」や参加者に振る舞われた豚汁の良い香りに、人の営みの重さを実感する。
 男子10キロで先頭がゴールして約1時間10分後、最後の走者は郡山市の専門学校教員猪川(いかわ)一裕さん(59)。一緒に参加した教え子たちの声援を受けてテープを切り、「歩くような速さだけど、根性試しに挑戦した」と完走に笑顔を見せた。