師走と言えば、落語では『芝浜』。ベートーベンの第9交響曲のように、年の瀬によく演じられる人情ばなしだ。聴きたいと思っても、仙台ではまず機会がない。上京する暇もなく、おはこにした3代目桂三木助のCDを探し出した。
 あらすじはこうだ。酒浸りの魚屋が浜で、大金の入った財布を拾って仲間と豪遊。翌朝目覚めると、財布がない。妻は「夢じゃないの」。男は酒を断ち、一念発起して店を構えるまでになる。大みそかの夜に妻から告げられた真相は…。
 三木助の芝浜は情景描写に富み、場面が目に浮かぶ。よどみない語り口で、さらりとした吟醸酒風の味わいだ。ただ、息遣いが伝わってこない録音では、かん冷ましの酒のような感じが拭えない。
 仙台でも芝浜のライブが楽しめるかも、と期待するだけでぞくぞくする。常設の寄席「魅知国(みちのく)定席 花座」が来年4月、青葉区一番町4丁目に開館するからだ。名誉館長には落語芸術協会(東京)の桂歌丸会長が就くという。話芸に酔うには「生」が一番。すぐに覚めない上質の演目を取りそろえてほしい。