平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開幕まで今日で50日となった。心技体のピークをいかに合わせるか。最終調整に神経をすり減らすのは選手だけではない。2012年から仙台市青葉区国分町で治療院を営む笠原守さん(48)もかつてそんな時を過ごした。
 マッサージ・鍼灸(しんきゅう)師の笠原さんが苦楽を共にしたのはスピードスケートの清水宏保選手。1998年長野大会に続き2大会連続の金メダルが懸かった米国ソルトレークシティー大会で、選手に3週間帯同し、コンディショニングを支える専属の施術師として大舞台を踏んだ。
 「彼の太ももは70センチ。指を差し入れてもみたい部位があっても、大抵のマッサージ師は自分の指が持たない」。多くのプロの施術を受けてきた金メダリストからの指名は何よりの栄誉。日大1年生の時から支えてきた信頼の証しだ。
 ソルトレークで清水選手は0.03秒差の銀に終わった。「金の地元米国選手はどう見てもフライングでしたよ」。いつもはソフトな笠原さんの手に力が入った。
 「痛ててて」。わが腰に一足早く、みんなが熱くなる冬の始まりを感じた。