食(喰)積とも、食摘とも書く。「くいつみ」。重詰めのお節料理のことだ。<テレビ点(つ)けまづ食積の蓋(ふた)を取る 角川春樹>。こんなふうに今年が始まった家庭は少なくなかろう。わが家もそう。
 その昔、正月の祝いとして三方の盤上に白米を敷き、のしアワビや勝ち栗、昆布、ミカンといった縁起物を盛った。そうした供え物がお節の原型らしい。
 もっとも、くいつみの漢字の字面からは趣が漂う。煮染め類を詰めて積んだ重箱の蓋を取り、二段目、三段目と広げて、めいめいがはしで摘(つ)まむ。多彩な食材が広がる食卓と、家族が顔をそろえただんらんの雰囲気が伝わってくる。一家にとっては、得難い「和」のひととき。英気を養うことはできただろうか。
 <喰積のほかにいさゝか鍋の物 高浜虚子>。さて、お節もここまで。役所や多くの事業所できょうは仕事始めだ。「良いお年を」とあいさつを交わした数日前と、何が変わったわけでもないけれど、気分だけは一新された。
 新鮮な気持ちで仕事に取り組みたい。小欄を「今年もよろしくお願いします」。