まさに鉄人である。現役最年長。社会人ラグビー、釜石シーウェイブス(SW)の伊藤剛臣選手が今季で引退する。46歳。元日本代表でキャップ62、ワールドカップ(W杯)2度出場のスターだ。せめて釜石でW杯がある来年まで-。ファンの願いはかなわず、「燃え尽きた」。
 法大、神戸製鋼で活躍しトライアウトを受けて2012年にSWへ。東日本大震災の爪痕が生々しい当時、「現役最後の炎を釜石で」と希望した不惑超えに、被災者がどれだけ励まされたことか。
 重圧は相当だったろう。念願のトップリーグ昇格を懸けた15年2月のクボタ戦。けがでメンバーから外れ、敗れた悔しさに、「いけるところまで、死ぬまでやる」と現役続行を誓った表情が忘れられない。がれき撤去などボランティアに汗した姿も思い出す。SWが被災地の希望であると強く自覚していた一人だ。
 SWは今季トップチャレンジリーグ7位。下部リーグとの入れ替え戦が13日、釜石である。対する大阪府警は震災直後から釜石で救援に尽力した。震災の縁が重なる試合で、鉄人の勇姿を見たい。