米沢市の70代の夫婦が数年前、30代の長男が住むさいたま市に移住した。「このままでは雪かきができず、地域社会に迷惑を掛ける」というのが長年住み慣れた古里を離れた理由という。
 米沢の積雪は100センチ超。仙台で3日続いた20センチ程度の雪ですら、こちらの50代の肩と腰は悲鳴を上げた。雪かき抜きに生活が成り立たない豪雪地帯の高齢者にとって、雪のプレッシャーは仙台とは比較にならないほど重いはずだ。
 政府は「生涯活躍のまち」構想を掲げ、大都市圏に住む高齢者の地方移住を促している。受け皿として有力視される東北だが、雪のない都会に「終(つい)の棲家(すみか)」を求める真逆の動きが出ている。
 山形などから仙台圏に移住する動きもあるという。東日本大震災の避難者が多数移住したことで中古物件の流通が活発化し、住宅を手放しやすくなったとか。
 東北の豪雪地帯に住む高齢者が首都圏や仙台圏に移住する動きは今後、ますます加速するのだろうか。水面下で静かに進む「避雪の時代」を前に、残された豪雪地帯の高齢者を思う。