フィギュア男子で五輪連覇を果たした仙台市出身の羽生結弦選手(23)に、内閣が国民栄誉賞を授与する方針だという。これまで27人1団体が受賞しているが、表彰規定通り「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与え」ながら選ばれていない実力者も少なくない。筆頭が柔道男子の野村忠宏さん(43)だろう。
 柔道史上初の五輪3連覇を達成。度重なるけがと闘いながら、40歳まで現役を貫いた。東日本大震災後、被災地支援の柔道教室を宮城県利府町で開いている。体が小さく、中学生の頃は女子選手にも負けていたという野村さん。練習に打ち込む子どもたちにこう言った。
 頑張らなければ人より強くなれない。でも、努力だけで勝てるわけではない。五輪という特別な舞台で頂点に立つにはちょっとだけ「運」も必要だ-。
 困っている人に親切にしたり、落ちているごみを拾ったり。血のにじむような練習の上に善い行いを重ね、神様を味方に付けるのだと世界王者は説いた。その言葉は子どもたちにとって何より明るい希望だったに違いない。