子どもたちに囲まれた唐の老人を描き、長寿と繁栄を願う「郭子儀唐子図(かくしぎからこず)」。朱と墨でユーモラスな顔立ちを表した「朱画達磨(だるま)」。福を招く掛け軸を飾る企画展「めでた掛け」が新春の恒例行事だった。来年はもう見られない。
 今年いっぱいで休館する仙台市若林区の福島美術館。再開の時期や場所は未定だ。「仙台の文化史を語る上で欠かせない収蔵品がどうなるのか」。展示を支援してきた宮城学院女子大の井上研一郎特命教授(70)が心配している。
 美術館の礎を築いたのは、実業家の故福島禎蔵氏。大正期、冷害に苦しむ農家を救おうとビール会社を創設。昭和期には窮乏した伊達家の文化財などを買い取った。「今こそ」という時期に登場した時代が求めた人物だった。
 文化庁の日本遺産に「伊達な文化」が認定され、東京五輪に向けて海外にも発信を目指す現代。休館は残念だが、美術館を運営する社会福祉法人の経営が厳しさを増しているのも事実。「今こそ誰か篤志家が力を貸してくれないでしょうか」。井上さんはそう願っている。(2018・4・12)