夕刊をひっくり返してテレビ欄を見てほしい。字幕放送を示す〓が案外多い。2016年度、総放送時間に占める字幕放送の割合はNHK総合が8割超、大手民放5社が約6割に上った。
 文字情報は聴覚を補う。ドラマの登場人物の押し殺した声、表記の分からない固有名詞も字幕なら一目瞭然。障害の有無にかかわらず役に立つ。
 数秒の遅れはあるものの生放送にも導入され、宮城県内の2局は地域ニュースの一部に生字幕を付ける。東日本大震災後、緊急情報の視覚化も進んだ。暮らしに欠かせない多様な情報を耳の不自由な人も即時に入手しやすくなった。
 残すは国会中継の字幕の整備だろう。政権の情報隠しを巡って与野党の攻防が白熱するが、NHKの中継にもインターネットで見られる衆参の録画にも字幕はない。会議録が公開されるまで2~3週間かかる。
 国会中継の生字幕は「正確性と公平性の確保に課題」があるとNHKは言う。情報をあまねく等しく的確に伝える公共放送の実現へ、技術の進歩が待たれる。

[注]〓は四角囲みの「字」