若い頃に応募した河北美術展。仙台市太白区の洋画家渡辺雄彦さん(84)は、審査員の作品評を今でもはっきりと覚えている。「無難」。たったそれだけだった。悔しかったけれど「次こそは」と発奮材料にしたそうだ。
 今年1月、本紙文化面に載った聞き書き『談-かたる』で、渡辺さんはそう話していた。ちなみに、その前の年の出品作の評は「調子はいいが、湿り気が足りない」。全くその通りと自ら納得した。
 先日行われた河北美術展の審査。一つ一つの作品を前に審査員が丁寧な作品評を述べていた。「ちゃんと物を見て描く練習を」「ビル街の風景はもっとキリッとした描き方を」「色の配置をよく考えて」「いろんな物を詰め込みすぎ」-。
 厳しい評も、作者を励ますような優しさにあふれた評もある。苦言であれ、激励であれ、きっと、出品者の未来への貴重なアドバイスになるはずだ。
 明日、青葉区の藤崎を会場に河北美術展が始まる。厳しさと愛情にあふれた短評は会場でも配布する。それを手に作品を見て回れるのも、この美術展の魅力。