後世に残す行政文書を保存、公開する公文書館は、市民にとっては縁遠い。国と地方を合わせて全国で80施設ほど。図書館などに比べると、圧倒的に少なく、活用法もあまり知られていない。
 「もっと身近な存在になってほしい」と全国を訪ね歩き、特色や課題を発信しているのは、横浜市で情報処理会社の役員を務める長井勉さん(69)。雑誌に紀行文を連載し、昨年春には各地の20館を紹介する『公文書館紀行』(丸善プラネット)を出版した。
 先月下旬、長井さんは取材で仙台市泉区の宮城県公文書館を訪れた。設置の経緯などを尋ね、5万点を収蔵する書庫を見学。同館は旧優生保護法時代、障害者に不妊手術を強制した問題の資料が見つかって注目されている。とはいえ、年間の利用者は1000人に満たない。
 「お宝」ならある。明治期に町村や地区単位で作成した地籍図や概略図。「栃木県立文書館などは学校と連携し、図面や文書を歴史教育に活用しています」と長井さん。市民との距離を縮めるため、知恵を絞る必要性を教えてくれた。