2月も後半になって減ってはきたが、まだ「新年会」のお知らせが時折届く。そういえば今年になって、気仙沼市のホテルなどで開かれる宴席に、ちょっとした変化が見られた▼主催者あいさつや来賓祝辞に続いての乾杯だ。これまでは梅酒が定番だったのだが、多くの席で日本酒に代わっていた。昨年の12月市議会で、議員提案による「食文化の振興に関する条例」が成立したのがきっかけだろう▼条例では、地元の日本酒(蔵元は二つある)や地場産ワイン、ジュースでの乾杯を呼び掛けている。いわゆる乾杯条例は、酒どころ伏見を抱える京都市で2013年に施行され全国に広がり、東北を含め各地で特色あるものが制定されている▼名だたる港町の気仙沼は、国内で初めてスローフード都市を宣言した地である。条例は水産物など地域特産食材の利用推進をうたっており、「気仙沼の食に対する敬意として、食べ残しを減らすことに努める」とも定めている▼東日本大震災で傷ついた古里にとって、安全でおいしい飲み物、食材は、決して失われない地域の誇りを象徴する財産だ。また、食べ物に対する感謝は、生命の尊重にもつながる。条例が、食を通じて形成されてきた自分たちの文化を見つめ直すきっかけになれば、大きな意義を持つ。(2017.2.21)