デビット・ゾペティさんはスイス出身で日本に暮らす作家。日本語で書いた『いちげんさん』は、京都を舞台に外国人学生が盲目の女性と恋に落ちる物語だった。そこには、主人公が「ガイジン」扱いされることに閉口する様子が何度も描かれている▼日本語の本を読んでいると<変なサラリーマンが後ろから『オー・ユー・ジャパニーズ・カンジ・オッケー?』とわけの分からないことを得意げに話しかけて>くる。修学旅行生には「外人だ。ハロー」を連発される-。自身の体験でもあったのだろう▼将棋で初の外国人女流プロ棋士となったカロリーナ・ステチェンスカさんも苦労したと想像する。ポーランド出身の25歳。研修会に通う電車の中で泣くこともあったとか。勝負の悔しさだけではなかろう▼それにしても、彼女と将棋の出合いが漫画だったというのは面白い。アニメやゲームなどクールジャパンといわれる近代大衆文化を入り口に、将棋という伝統文化に興味を持って来日した。観光戦略のヒントでは?▼京都巡りや秋葉原での買い物が訪日客の「定跡」だったが、徐々に行動が多様化し「次の一手」を求められている。それが体験と参加。ゾペティさんの書いた20年前ならいざ知らず、外国人受け入れに抵抗感を抱く時代ではない。(2017.2.22)