この連休中、多くの人が墓前で手を合わせているだろう。きょうは彼岸の中日、春分の日である。太陽の没する真西に極楽浄土があるとされ、彼岸の法要は平安時代から始まったという▼墓参を終えた夕、精進おとしが子ども時代の楽しみだったと書いたのは、女優の故沢村貞子さん。浅草の洋食屋で、普段は食べられないトンカツを1人前、注文できた。<世界じゅうどこへ行っても、こんなおいしい洋食はないにきまっている、とその頃の私は固く信じていた>▼彼岸の食べ物といえば「おはぎ」だろう。春は「ぼたもち」と言い換えるようだが。小豆を煮る家庭も少なくなったか。脚本家の筒井ともみさんの家には、母親の手作りおはぎを求め小学生のボーイフレンドが列を成したとか。<弁当箱や重箱に、約十個ぐらいずつがつめられ、彼等(かれら)はペコリとお辞儀をすると、急ぎ足で各々(おのおの)の家へ帰っていく>▼それぞれに風物がある。会津地方には彼岸獅子が舞う。太夫・雄・雌の3体の獅子が、太鼓と笛の音に合わせ軽やかに。このおはやしで目覚める早朝に、春を感じる人もいると聞いた▼会津若松市観光課には、首都圏から「桜の具合はいかが?」という問い合わせが入り始めた。気が早いと思うが、これで行楽シーズンも幕を開けるそうだ。(2017.3.20)