脚本家の内館牧子さんがあるエッセーで、宮城県民の伊達政宗に対する愛情の深さに触れていた。例に挙げたのが、NHK仙台放送局が夕方放送している「てれまさむね」。確かに、テレビ番組の名称に付けるとは、かなりのものである▼内館さんの出身地の秋田も負けていない。同時間帯に秋田放送局で放送中の番組は「ニュースこまち」。こちらは絶世の美女と言われる平安時代の歌人小野小町だ。一説には現在の湯沢市小野の生まれとされる▼しかも、テレビ番組にとどまらない。最近は産地間競争に押されがちなものの、食味に定評があるコメは「あきたこまち」。県立野球場は別名「こまちスタジアム」。JR秋田新幹線の愛称も「こまち」だ▼秋田新幹線があす22日、開業20周年を迎える。これまでに運んだ乗客は延べ約4400万人。盛岡-秋田間は在来線を走るために「フル規格」ではないが、観光やビジネスなど、交流人口の増加に貢献してきた▼とはいえ、東京駅から秋田駅までの所要時間は最短でも3時間37分。フル規格の「奥羽新幹線」「羽越新幹線」を望む声はあるものの、少子高齢化が全国最速で進む中、実現へのハードルは高い。実現したとしても、若者の県外への流出が加速しかねない。高速化はもろ刃の剣でもある。(2017.3.21)