生活保護を受けていた埼玉県の1人暮らしの高齢女性が、居住する自治体から家のクーラーを外された。それが継続の条件だった。女性は暑さで脱水症状になった。関係者に相談を受けた岡崎トミ子さんは憤慨した▼少しも弱者にやさしい政治じゃない。当時の厚生省に問い「行き過ぎでは」という返答を引き出す。厚相にも掛け合い、病弱な生活保護者のクーラー使用を認めさせた。社会党衆院議員(旧宮城1区)時代のそんな思い出を自著に書いている▼生活者本位の社会を追い求めてきた岡崎さんが亡くなった。1990年、女子アナから政界への転身は世間をあっと言わせた。社会党解党、社民党離党の体験を経て旧民主党結党に参加。直後の衆院選では落選し参院補選で返り咲いた。激流のような有為転変の国政を懸命に生き抜いた▼2009年の政権選択選挙では宮城県連代表として采配を振る。小選挙区で1~5区を制し「有権者の怒りが地殻変動を起こした」と勝ちどきを上げた。翌年、待望だった東北初の女性閣僚にも就いた▼4年前に政界を退いてからも、護憲や平和運動を続け気さくな笑顔を見せていた岡崎さん。「今の政治を崩すには市民のパワーが必要」。昨年の参院選前の言葉だ。常に市民と共に歩み続けた生涯だった。
(2017.3.22)