「真実とは、本人が最も納得できる仮説に他ならない」。作家の森博嗣さんが言っている。一つしかない真実にたどり着こうとするなら、まず胸に手を当て心の声を聞いてみる。都合の良い仮説に自身が惑わされていないか。そんな戒めだろう▼きのう国会での証人喚問に臨んだ森友学園の籠池泰典氏。国有地の取得や小学校設置認可などを巡る疑惑の渦中にあって、終始落ち着き払って証言した。ただテレビ画面は心の中も映し出す。答えに窮して、何度か証言拒否を申し出た時は動揺の色も見せた▼焦点だった安倍首相からあったという100万円の寄付は「鮮明に覚えている」。昭恵夫人との現金授受があったとされる場面を語った。なぜ今になって言い出したのか。「応援してくれていた人たちが、離れていった」と語る恨み節は、利益を期待するだけの関係を示すのか▼新たな政治家の実名も数人出て、土地取得に「政治的関与はあっただろう」「ある時から神風が吹いた」と言う。昭恵夫人との関係も不透明さは拭えない。疑問は広がる▼菅官房長官は「首相側からの寄付はしていない」と改めて否定したが、ここが幕引きの地点でないのは明らか。与野党はさらに複数人の国会招致で解明を続ける意向。知りたいのは仮説ではない真実だ。(2017.3.24)